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クレジットカードで買った商品が届かない、届いた商品が説明と違う。そんなとき、カード会社への支払いはどうなるのか不安になりますよね。こうした場面で知っておきたいのが、割賦販売法に定められた「支払停止の抗弁」という仕組みです。
この記事では、e-Govに掲載されている割賦販売法の条文、一般社団法人日本クレジット協会の「よく寄せられる相談と相談窓口」、三菱UFJニコスの「支払停止の抗弁について」、三井住友カードの「支払停止等の抗弁に関する手続きについて(ご案内)」をもとに、支払停止の抗弁の基本と、申し出る前に確かめたい5つのポイントをまとめます。後半の、トラブルに備えた記録の残し方は、この記事の提案です。
※実際に支払停止を申し出られるかどうかは、契約の内容や取引の条件によって異なります。お手元のカードの会員規約を確認し、迷ったときはカード会社や消費生活センターに相談してください。
支払停止の抗弁とは
販売店との問題を理由に支払いを一時的に拒む権利
日本クレジット協会の説明では、「支払停止の抗弁権」は、消費者が販売会社と結ぶ売買契約(又は役務提供契約)上の問題を理由として、クレジット会社への支払いを一時的に拒むことができる権利だとされています。
条文ではどう書かれているか
割賦販売法の第三十条の四は「包括信用購入あつせん業者に対する抗弁」という見出しの条文です。第一項では、購入者などが支払の請求を受けたとき、商品などを販売した業者に対して生じている事由をもって、支払の請求をする包括信用購入あっせん業者に対抗することができる、と定めています。
第二項では、この規定に反する特約で、購入者などに不利なものは無効とする、と書かれています。第三項では、対抗をする購入者などは、業者から事由の内容を記載した書面の提出を求められたときは、提出するよう努めなければならない、とされています。
契約を解除する権利ではない
日本クレジット協会の説明では、「支払停止の抗弁権」は契約を解除できる権利ではなく、販売会社との間で生じている問題が解決するまで、クレジット会社への支払いを停止する権利だとされています。三菱UFJニコスの案内にも、支払いの停止は抗弁事由が解消するまで一時的に請求を保留するもので、請求自体がなくなるものではない、と書かれています。
申し出る前に確かめたい5つのポイント
1. 支払方法が対象かどうか
三菱UFJニコスの案内では、支払方法がリボ払い、分割払い、2回払いおよびボーナス一括払いの場合に、支払いを停止できる場合がある、と書かれています。1回払いについては、対象から除かれる書き方になっています。
日本クレジット協会の説明では、支払停止の抗弁は割賦販売法に定める信用購入あっせん、ローン提携販売の方法で購入した際に申し出ることができる、とされています。自分の支払方法が何だったのかを、利用明細で確認しておきましょう。
2. 金額の条件を満たしているか
条文の第四項には、政令で定める金額に満たない支払総額に係るものには適用しない、と書かれています。三井住友カードの案内では、現金販売価格に分割払い手数料を加えた総額が4万円未満のとき(リボルビング払いの場合は現金販売価格が3万8千円未満のとき)は支払の停止をすることはできない、と説明されています。三菱UFJニコスの案内にも、同じ趣旨の金額が書かれています。
3. どんな問題が理由になるか
日本クレジット協会の説明では、申し出ることができる問題の例として、見本・カタログ等と現物が違う場合、商品の引き渡しがない場合、引き渡しが遅れた場合、商品に欠陥がある場合などが挙げられています。強迫・強要、詐欺、錯誤による意思表示の場合も挙げられています。
4. 対象外になる取引ではないか
三菱UFJニコスの案内では、支払いを停止できない場合として、カードショッピングの利用が日本国外で行われた場合、会員にとって営業としてまたは営業のために行われた契約である場合、不動産の販売に係る契約の場合などが挙げられています。三井住友カードの案内には、お客様の支払いの停止が信義に反するとき、という項目もあります。
5. 先に販売店と話しているか
三井住友カードの案内では、支払停止を申し出る前に、まず取扱店に連絡して問題の解決を図るよう交渉してください、と書かれています。取扱店と連絡がとれないときや、連絡がとれても問題が解決しなかったときに、クレジット会社に申し出る流れです。
5つのポイントの早見表
| ポイント | 確かめること | 参考にした案内 |
|---|---|---|
| 1 支払方法 | リボ払い・分割払い・2回払い・ボーナス一括払いか | 三菱UFJニコス、日本クレジット協会 |
| 2 金額 | 総額4万円以上(リボは現金販売価格3万8千円以上)か | 三井住友カード、三菱UFJニコス |
| 3 問題の内容 | 未着・遅延・欠陥・見本と違うなど | 日本クレジット協会 |
| 4 対象外の取引 | 国外の利用・営業のための契約・不動産など | 三菱UFJニコス |
| 5 販売店への連絡 | 先に取扱店へ解決を求めたか | 三井住友カード |
細かな条件はカード会社によって書き方が違うことがあります。手元のカードの案内や会員規約を確認してください。
申し出の流れ
書面で申し出る
三菱UFJニコスの案内では、取扱店とのやりとりで解決に至らなかった場合、「支払停止等の抗弁に関する手続きについて(ご案内)」を確認したうえで「支払停止等の申出書」に必要事項を記入し、書面を送付する流れが紹介されています。送付にかかる費用は利用者の負担だと書かれています。
カード会社が確認する
三井住友カードの案内では、申出を受けたクレジット会社は、支払停止事由に該当する場合は請求の停止など必要な手続きを行い、その際、申出の内容について利用者や取扱店に問い合わせる場合もある、と書かれています。
問題が解決すれば支払いは再開
日本クレジット協会の説明では、たとえば商品が届かない場合、商品が届けば問題が解決したことになり、支払いが再開される、と書かれています。支払停止は、問題が解決するまでの一時的なものだと理解しておきましょう。
2者間契約と3者間契約の違い
販売店に直接主張する場合
日本クレジット協会の「クレジットで購入した商品が届かない。どこに相談したらよいのか?」という説明では、解決方法は契約したクレジットの形態やしくみによって異なる、とされています。販売店と消費者の2者間の契約の場合は、販売店に申し出て「商品が納品されるまでお金は払わない」と主張することができ、これは民法に定める「同時履行の抗弁権」だと説明されています。
クレジット会社に主張する場合
一方で、販売店、消費者、クレジット会社の3者間の契約の場合は、クレジット会社に同様の主張をすることになり、これが割賦販売法に定める「支払停止の抗弁権」だと書かれています。クレジットカードで買い物をすると、代金はクレジット会社が販売店に立て替えて支払い、利用者は後からクレジット会社に支払う形になります。そのため、販売店との問題を、支払先であるクレジット会社に伝える仕組みが必要になるというわけです。
自分の取引がどちらか確かめる
同じ「カードで払った」場合でも、どのような契約の形になっているかで、話をする相手が変わります。分からないときは、利用明細やカード会社の案内を見て、どの会社に支払っているのかを確かめておきましょう。
黙って支払いを止めない
申し出をしないと延滞扱いになることも
販売店とのトラブルがあっても、自分の判断だけで引き落とし口座の残高を減らしたり、支払いを止めたりするのは避けましょう。手続きをしないまま支払いが行われないと、カード会社から見れば単なる未払いと区別がつきません。まずカード会社へ連絡し、案内に沿って手続きを進めることが大切です。
不正利用とは別の手続き
身に覚えのない請求、つまり自分が使っていない不正利用の疑いがある場合は、支払停止の抗弁とは別の話になります。その場合は、カード会社の不正利用の窓口にすぐ連絡しましょう。支払停止の抗弁は、自分で購入した商品やサービスに問題がある場合の仕組みです。
トラブルに備えた記録の残し方
ここからは、各社の案内をもとにした、この記事の提案です。
注文画面や確認メールを保存する
ネット通販でカードを使うときは、注文確認のメールや注文画面のスクリーンショットを保存しておくと、あとで「見本・カタログ等と違う」といった問題を説明しやすくなります。商品ページの説明も、購入した日付と一緒に残しておくと安心です。
販売店とのやりとりを日付順にメモする
販売店に連絡した日時、相手の担当者、話した内容をメモしておきましょう。三井住友カードの案内にあるように、カード会社から問い合わせを受けることもあるため、日付順に整理しておくと説明がスムーズです。
支払方法を意識して選ぶ
支払方法によって支払停止の抗弁の対象になるかどうかが変わります。高額な商品を買うときは、どの支払方法を選んだのかを明細と一緒に記録しておくとよいでしょう。ただし、支払方法は手数料なども含めて、自分の家計に合わせて選ぶことが大切です。
困ったら相談窓口を使う
自分のケースが対象になるか分からないときは、カード会社の窓口や、お住まいの地域の消費生活センターに相談してみましょう。消費者ホットライン「188」に電話すると、身近な相談窓口を案内してもらえます。
支払停止の抗弁のよくある質問
1回払いで買った場合は?
三菱UFJニコスの案内では、対象となる支払方法としてリボ払い、分割払い、2回払いおよびボーナス一括払いが挙げられています。1回払いの場合は、まずカード会社に相談してみてください。
支払停止をすれば代金を払わなくてよくなる?
日本クレジット協会の説明では、支払停止の抗弁権は契約を解除できる権利ではなく、問題が解決するまで支払いを停止する権利です。三菱UFJニコスの案内でも、請求自体がなくなるものではないと書かれています。
申出書はどこで手に入る?
三菱UFJニコスや三井住友カードは、公式サイトで手続きの案内を公開しています。お使いのカード会社の公式サイトや窓口で確認してください。
海外のネットショップで買った場合は?
三菱UFJニコスの案内では、カードショッピングの利用が日本国外で行われた場合は支払いを停止できない、と書かれています。どの取引が国外の利用にあたるかは、カード会社に確認しましょう。
支払停止の抗弁を知って落ち着いて対応しよう
支払停止の抗弁は、割賦販売法に定められた、販売店との問題が解決するまでクレジット会社への支払いを一時的に止められる仕組みです。支払方法や金額、問題の内容、対象外の取引でないか、販売店に先に連絡したかを確かめ、カード会社の案内に沿って書面で申し出るのが基本の流れです。
トラブルに備えて、注文の記録や販売店とのやりとりを残しておくと、いざというときに落ち着いて対応できます。